ここ1、2年の患者さんの傾向は心之臓の虚(免疫力低下・機能低下)が増えつつある。

二人に一人は確実である。

心之臓とは、東洋医学的表現であるが、現代医学的には循環器系の機能にほぼ相当し、加えて胸から上の全ての部位とも関わるものと捉える。

良く似た支配領域を持つのが肺之臓である。肺之臓は現代医学的には呼吸器系を包含し、加えて胸から上の全ての部位と深く関わる。
肺之臓と、心之臓との違いは呼吸器系と循環器系の違いであり、また肺之臓は右に深く関わり、心之臓は左に深く関わるというところである。

東洋医学では脉診を効果判定の大きな位置に置く。当院で用いている脉診とは、東洋医学の脉診の中の寸口部(手首部)の脉を指先で触れて、脉の状態を診るものである。

一本の血管を三部に別け、左右で六ヶ所の気の状態を診る。その六ヶ所に臓腑配当が有り、経絡配当があり、身体の区分配当が有る。
どこの気が少ないかを診て診断とする。

心之臓の虚を、脉診で診た時、循環器系の異常や左の胸部から肩、首、頭の異常が考えられる。

虚とは生命の構成要素である、「気・血・水」の量や機能の低下である。その中で環境や体調による変化が最も速く反応するのが気である。

気の虚があり、その改善がなされない場合、血や水の虚となる。

反対に気の虚が改善されたとなると、血と水の改善が次に期待されるのである。

だから気の変化を診断の重きに置くのである。

その気の状態や、気の変化を最も診やすいのが脉診なのである。

東洋医学で云うところの脉診は現代医学で云う脈診とは違い、現代医学で云う脈診は、「打っているか?打っていないか?」、「速いか?遅いか?」、「強いか?弱い?」「不整脈があるか?ないか?」であり、そこから体調や生死を診る。

東洋医学の脉診は現代医学と同様に、体調や生死を診るのであるが、脉の打ち様を20数種類に別け、加えて気の有る無しを中心に診、臓腑や経絡、身体の六区分を考え、脉による診断とする。

実際には、問診や切診(触診)等も加えて診断とする。

現代医学の免疫力に相当する気血水であるが、体の中での存在の多い少ないの位置分類や、働きの程度の分類として五臓六腑、十二経絡などがある。

このような人体生命把握の中で、最近は心之臓の虚が増えつつあるのである。