基本的な診断治療は、“気”を対象に行います。
病が発症した原因が、身体のどの場所に起こった“気”の不足によるものなのか?
それを、問診と脈診を中心に丁寧に探していきます。
【大人】
問診と脈診を主として診断を行います。
また適宜、腹診、背中診、経絡診も用います。
さらに現代医学のデータ(血液検査、使用中の薬、使用中のサプリメント)も参考にします。
治療は刺さない鍼をツボ(多くは指の先)に当てて行います。
治療時間は約30分~1時間です。
初心時は1時間半くらいになる場合があります。
“気”が調ったら終わります。
【小児】
大人とほぼ同じですが、違いは接触しないで、診断と治療をさせてもらう場合が多いです。
小児は触れられることを嫌います。
※ 熟練すれば触れなくても診断と治療は可能となります。
【ペット】
触れられれば触れて、触れられなければ触れずに診断と治療とをさせてもらいます。
噛むペット、水槽内のペット、人畜共通の感染症などの場合も対象となります。
・治療方法としては「刺さない鍼」を用います。
・筋肉が頑固に固まった所は、手指にて解す場合もあります。
・関節の気が通り難い場合は関節運動をする場合があります。
・冷えの程度が大きい場合は、ヘアードライヤーを用います。
(アレルギーを考えもぐさは使用しません)
・生活習慣や環境に大きな原因がある場合は養生指導をさせて貰います。
(病気の原因の多くは生活習慣や環境にあります。変えていただければ早く治ります)
・初診時は肌を出して頂きますが、後は衣服を着た状態で施術させて頂きます。
・鍼先を皮膚に当てる場合や、衣服や毛布の上からツボに気を増やす場合、
鍼先と衣服との間に距離がある場合があります。
・小児の場合は、極力触れないで施術します。
(当流派の治療術に於いて、鍼先とツボとの距離は問いません)
・薄毛の治療にはライターで髪の毛先を焼きます。
(ヘアースタイルが若干変わることがありますがご了解ください)
・イボの治療には焼き鍼(爪楊枝大の金属の先を熱して患部に当てる治療)を用います。
・予約制にして、他の患者さんとの接触を極力なくしています。
刺さない鍼とは
製作にあたっては、素材など、最大の効果を出すために試行錯誤を繰り返し、最も“気”の流れる状態に仕上げています。
(意匠登録済み)
刺さないために痛みを伴わず、感染の心配がない。
衣類や毛布の上からでも気は増やせるので、服を脱ぐ必要がない。
感覚の鋭敏な方の場合、邪気が出てくるのを、手や目で感じられる。
鍼の質や形状も工夫によって、“気”を漏らすことがない。
※ 東洋医学の古典からみる刺さない鍼
東洋医学と聞くと鍼と漢方薬であり、多くの人は「鍼は刺すもの」と思われています。しかし、東洋医学の原典的書物である「黄帝内経」には9種類の鍼(鑱鍼・鈹鍼・鋒鍼・毫鍼・長鍼・員利鍼・大鍼・鍉鍼・員鍼)の説明があり、鍉鍼と員鍼とは刺さない鍼なのです。
このように刺さない鍼は古来より存在し、用いられていたのです。
※ ツボと鍼先は接触していなくてよい
気は人の思いの通りに、気的に変化し、気的な現象となります。気的変化や気的現象が物理的な変化にまで及ぶ場合も有れば、及ばない場合も有ります。この差は個人の能力の差であります。
また、遠くのものを視る力も同じで、人により千里眼の如く見える者がいるのです。
東洋医学でよく引用される故事に、扁鵲という医者が塀の向こうの人を視て、診断し治したと言うものがあります。参考に扁鵲倉公列伝を次に記します。
『扁鵲者.勃海郡鄭人也.
姓秦氏.名越人.少時爲人舍長.舍客長桑君過.扁鵲獨奇之.常謹遇之.長桑君亦知扁鵲非常人也.出入十餘年.乃呼扁鵲私坐.
間與語曰.我有禁方.年老.欲傳與公.公毋泄※.
扁鵲曰.敬諾.乃出其懷中藥予扁鵲.飮是以上池之水.三十日.當知物矣.
乃悉取其禁方書.盡與扁鵲.忽然不見.殆非人也.扁鵲以其言飮藥三十日.視見垣一方人.以此視病.盡見五藏癥結.
特以診脉爲名耳.爲醫或在齊.或在趙.在趙者.名扁鵲.』
即ち、気は距離に関係なく、感じ取ることができるのです。そして前述の如く気的変化をさせることもできるのです。
ただ誰でもができるのではなく、修練を積んだ者のみの術であります。