気を主とした生命感に於いての治療とは、気を増やすことが基本となる。

体内に気が増えることで、気は流れ不具合は調う。

ただ素人目には悪化したように見えたり、実際に悪化する場合もある。

インフルエンザなどの感染症の場合に、気を増やすと一時的に熱が上がる場合がある。

これは正気が足らない為に中途半端な発熱に至り、一進一退しているところに正気が増えて、一気にウィルスを死滅させる為に熱が上がるのである。

この時の熱の上昇は生理的なものなのである。

しかし、一般的な目から見れば悪化である。

この理論は最近の現代医学でも一部唱えられているようである。

これを東洋医学では暝眩反応という。

感染症と発熱に関して、もう少し述べると、正気が少なくて発熱出来ない場合がある。

お年寄りの肺炎で発熱しないのは、このケースである。

また、感染症での発熱時に、解熱剤での体温低下は、感染症の原因たるウィルスなどの微生物を死滅させた訳ではなく、正気が少なくなり過ぎて発熱出来なくなっただけである。

解熱剤は発汗により正気を漏らす働きが有り、その結果熱を出せなくするのである。

自然に正気が増すと再び発熱するのである。

感染症の発熱には色んな形が有るが、正気が増えて発熱に至った場合、死に至りことはまずない。

時に熱性けいれん癖のある幼児の場合は、ヒヤッとさせられることもあるが、自然に発熱した場合よりは発生は少ないようである。

常に正気が充実していれば、発熱はしないか、発熱しても早期に解熱するものである。

正気を増やし、最もヒヤッとするのは血栓である。

血流が悪く血管内に血の塊がある場合、正気が増えて血流が増すことで、血塊が剥がれて流れ、血管が狭くなったところで血栓症を起こす場合がある。

小さな血栓なら大した症状とはならないが、大きな血栓の場合、危険なこともある。

だから、怪しそうな患者さんの場合、一気に気を増やさないように心掛けている。

このような患者さんは何もせずにいても、何れ自然に剥がれ血栓症となるものである。
その時は、もっと大きな血栓となっている筈である。

このような場合の理想的治療は、血液凝固防止剤で、血の塊をほぐしてから気を増やすことであるが、現実には不可能である。

このように正気を増やす治療は、全て症状が軽減方向に向く訳ではなく、一瞬悪化に見える場合や、部分的悪化や、部分的悪化が重篤な場合などあるのである。

私の場合、血栓を起こしたのは数例であり、全て手足の痛みであり、数日で自然治癒した。