世間ではなんば歩きを薦める人がいる。
なんば歩きとは昔の日本人の歩行法である
大きな特徴は前に出した足と同側の腕を前に出す歩行法である。

何故なんば歩きになったかの理由に、農耕民族を挙げる専門家もおられるが、世界中に農耕民族はいくらでも存在する。

しかし、他国になんば歩きの伝承はないようである。ただ私の耳に入らなかっただけかもしれないが、欧米人にはないようである。
日本人独特の何かがあるのかもしれない。
それ故、神秘性を感じ、良かろうという意味を見い出したいと思い、話題となるのであろう。

実際に大きな意味を含んでいるように思うが、昨今のなんば歩きの指導者の言を聞くに、疑問が湧いてくる。

私が認識しているなんば歩きは、武術、特に柔術に於いての体の使い方である。剣道でも右手が前で、右足が前である。

私は治療かなので、なんば歩きは腰痛の患者さんに用いる。腰痛の場合西洋風に歩くと、腰で椎骨に捻りが生じ、椎間板や椎骨支持組織に負担が生じ、治り難くなる。なんば歩きを指導すると治りが早いのである。
なんば歩きは椎骨に捻りが入らない為である。
また、背骨に捻りが入らないということは、背骨の中を通る気の流れがスムーズである。背骨を捻って歩くと、捻る度に気の流れが阻害されるのである。
背骨の気の流れは健康上非常に重要である。
先人はこの事を知った上で、なんば歩きを用いていたものと思われる。

歩く時に、気の幾らかを下半身に置き、尚且足に歩きなさいと命令すすのである。そして上半身は足が歩くのに遅れないように、自然と膝腰胸腕の位置が決まるのである。
要領はスキーの前傾姿勢に似る。