25日の日曜日、神戸で海上自衛隊の掃海艇の一般公開があり車で出かけた。
予定時間より早く着いたので、時間潰しに車で休もうと、車を停めたところ、前方10㍍辺り道路の中央に黒い毛皮の帽子のようなものが落ちていた。
しかし、よく見ると猫が座っているようにも見える。
猫だったら動くだろうと考えつつ、はねられた可能性も頭をよぎる。
知らんぷりをしようかとも思ったが、もしはねられた猫だったら、このままではもう一度はねられる可能性ある。
そうなると死ぬのは必至だろう…それは悔やまれる。
しかし、はねられて道路の中央にうずくまるくらいなら、かなりのケガをしているはず。血だらけかも知れない。
血だらけの野良猫を触るのは辛いな!と思案しつつ、後悔しないように車を降りて見に行った。
やはり猫だった。鼻から血を流してうずくまったまま動かない。
大きな声で「おーい」と声を掛けてもピクリともしない。
鼻は路面に着け、あたかも鼻で支えているようであった。
手袋をはめ、背中からタオルを被せ、そーっと持ち上げて歩道まで移動させた。
歩道に置いても動かない。
「ちょっと気を増やしてみたらどうなるだろう?」と、頭からお尻まで順に、両手で左右から覆うようにしつつ気を増やした。
すると丸く固まっていた体を伸ばしつつ、尻尾も伸ばし左右に大きく動かしたのである。鼻に詰まっている血を鼻息で出したりもした。
少し生き返ったように思えた。
気が増える時に、頚が左側に曲がっていったのが気になったので、人間対象に行っている遠隔診断と同じように触れずに診断してみた。
顔面部に外傷性らしき炎症があり、左頚部にも炎症と腫れがはあったが、内臓には顕著な異常は感じられない。
呼吸は速くない。
多分大丈夫だろうと思った矢先、立って動き出した。
その動きはふらついているものの四肢は踏ん張れているので、このふらつきは脳震盪の後遺症か、頚部損傷の為だろうと考えた。
ふらつきながらでも側溝に降り消えていったので「まあ平気かな」と思い目的地に向かった。
見学の帰りにもう一度行くと、猫は側溝から出て歩道に座っていた。
近付いて様子を窺うと、黒い猫なのでハッキリは分からないが、左頚部に若干の出血があるように見えた。
獣医に連れて行こうかとも考えたが、諸々の事情でそこまでは出来なかった。
申し訳ない気持ちで後ろ髪を曳かれながら、その場を後にした。
帰宅しても心配で、遠隔で診断と治療を行った。
その後、数回治療し、火曜日の夜の時点では顔面部は7割方良くなり、頚(第3頚椎~第5頚椎)も半減していた。脊髄にも少しダメージはあったが良くなっているように思えたので、猫から気持ちを外した。
今思うと、あの猫は飼い猫だったかも知れない。肉付きはいいし毛の艶もいい、何よりも道路に再び現れたのは、主人に見つけてもらう為だったのかも知れない。
無事飼い主のところに戻っていることを、願うばかりだ。