昨今、宗教を信仰する者が減少していると、アメリカからのニュースで聴いた。
多分、減少している宗教は現世利益を説く宗教だと思う。
科学が未発達の時代の宗教は、同種を増やすことで価値観の統一が為され、それが現世利益にも繋がった。
しかし、科学が世界を席巻し、世界の中心たる意識になった現在、科学が現世利益に繋がることが判明した現在、科学が宗教に代わるのは必然であろう。
だから既存の現世利益的宗教の信者が、科学という宗教の信仰者に入れ替わっただけなのである。
現世利益的信者は減っていないのではないと思われる。
人は生きる指針や手段を何かに頼ろうとする。
その時、宗教や宗教家にそれを求めていた。
そして、宗教の中には現世利益を説く宗教も増えてくるのは必然であった。
目的を物質に置く宗教は、現代科学と何ら変わるところはなく同一であり、より具体性のある現代科学は宗教に勝るのである。
現世に於ける利益よりも死後の大事を説く宗教は、信者の数に変わりはないのではないかと思う。
東洋医学は病を治すという現世利益を満足させる生業であるが、同時に生き方も大事にする医学である。
東洋医学の原典たる「黄帝内経」には、恬憺虚無という心持ちの大事を説いている。
恬憺虚無とは色即是空と類似である。
道教の無為自然である。
東洋医学は道教に始まりがあるとも言われているから当然であろう。
このような心持ちで生き、そして死ぬことが、人としての理想の死生観なのである。
それが悟りに繋がり、解脱に繋がるのである。
東洋医学はこの辺りまでを視野に入れているのである。
単に症状を取り去ることだけを考えているのではないのである。
このような東洋医学の視点から、今回のアメリカのニュースを視ると、このようになるのである。